以下の原稿は、ふじ総合法律・会計事務所(大阪市北区堂島1丁目1番25号 電話06-6456-0100(代)WEBPAGE http://www.office-fuji.comから発刊されている「ふじだより」に寄稿したものです。尚、ふじ総合法律事務所は、弁護士9名、公認会計士1名、税理士2名を擁する総合事務所です。「ふじだより」のご希望の方は当事務所にご連絡ください。

外国人地方参政権付与についての私見(2000年秋号)
私は、現在の永住者に一律に参政権を付与する案に疑問を感じます。それは地方参政権といえども国民としての権利に密接に関わり、国籍を持たない永住者に参政権を付与するという事に対してより慎重になる必要があると考えるからです。極端な例を出せば日本人の配偶者で3年程度日本に在留する外国人が永住者になることができる(またその後離婚しても永住資格に影響はない)場合を考えれば、あまりにも容易に外国人が参政権を得られる結果になります。
ただ一方で、日本で生まれ、日本で教育を受け、今後においても日本で生活するであろう永住者及び特別永住者(いわゆる在日)が参政権を持つということは、ある意味で当然であることと思います。むしろそのような永住者が在留する国の国籍をもたないことに、私は国としての不自然さを感じます。
 日本は国籍に関しては血統主義を採用しています。平たくいえば日本人の子供はあくまで日本人で、外国人の子供は外国人であるという考え方です。一方、米国・イギリス・オーストラリアをはじめ南米の多くは生地主義を採用し、その国で生まれた者をその国の国民と考えています。血統主義にも長所があり日本が生地主義に変更する必要性まで感じませんが、血統主義と生地主義の長所をうまく折衷させていくのが今後の日本にとって必要なことではないかと考えます。例えば日本で生まれ、教育を受けた永住者には国籍選択権を付与し、帰化申請をするのではなく、届出により日本国籍を取得できるような一部生地主義を採用させるといったことが考えられます。
従いまして私の結論としましては、今回の永住者全員の地方参政権付与を論議する前に、参政権と国籍といった根本的な問題に立ち戻り、外国人の国籍に関する権利からもう1度考え直す必要があると感じます。
日本と米国のビザ(2001年春号)
日本と米国のビザ

今日の交通機関や通信手段の発達により世界がより身近に感じられ、人々がより気軽に国境を超えて生活するようになりいわゆる「国際的な人の流動化の時代」に突入したといえるのではないでしょうか。ただそのような時代においても外国に行くとき誰もが避けてとおることができないのがその国の移民や入国に関する法律に基づいたビザ(査証)の発給と在留資格です。そこで今回は簡単に米国のImmigration and Naturalization Act(以下移民法)と日本の出入国管理及び難民認定法(以下入管法)を踏まえながら両国の共通点や特徴を解説します。

短期滞在の目的で訪れる場合
日本と米国は1986年に査免協定(VISA WAIVERパイロットプログラム)締結以後、商用・観光などの目的であれば御互い90日を限度としてビザを取得しなくても相互に訪れることができます。この目的には観光、会議への出席、視察などの商用や親族の訪問などが含まれます。但しこれは日本国とアメリカとの相互主義に基づく規定ですから、例えば中国人が日本に上記の目的で滞在しようと思えば、中国にある日本領事館で「短期滞在」というビザを取得しなければなりませんし、また米国に行く場合も「B−2」というビザを取得しなければなりません。米国移民法ではこの目的を厳格に運用しますので、たとえば日本人が米国在留の婚約者と婚姻する為に渡米する場合、上記のようなビザ免除を使って入国しようとすると、ビザ免除規定の目的外(短期滞在ではなく、移民の意思のある入国目的)ということで入国拒否されます。このような場合は日本においてアメリカ人と婚姻し永住権取得後渡米するか、もしくは婚約者ビザ(K)取得後渡米しなければなりません。

就労の目的で訪れる場合
外国で就労する場合は観光や留学などと違い、外国人労働者を受け入れることによってその国の労働環境に大きな影響を及ぼすことになり、受入国としては無制限に受け入れることはできません。原則その国に不足している労働力補うことができる外国人もしくは労働環境に悪影響をもたらさない外国人に対して国が就労できる在留資格を与えることになります。よって単純労働者は原則就労資格を得ることはできません。
日本では主に大学卒業者に対して「人文知識・国際業務」「技術」という在留資格があり、また調理師などの特殊な技能と経験を有する労働者には「技能」といった資格があり、一方米国移民法においても同様に一時的専門職者として「H1-b」という資格が存在します。またその他にも一定の投資をおこなて事業を営む「投資家」や関連企業に出向する「企業内転勤」といった在留資格が両国にも存在します。上記のように日米の入国法にこれだけ多くの共通点が存在するのは、日本の入管法が連合軍の占領下の昭和26年にいわゆるポツダム政令としいて制定(その後昭和56年、平成元年に改正)されたことに由来します。また米国移民法独自の特徴である在留期限や年間受け入れ人数の制限(H1-bにおいて)は、現在においても米国に移住したい世界各国の人々が多く存在することを窺い知ることができます。

永住の目的で訪れる場合
 永住権とは外国人がその国の国籍は取得しないがその国において制限(就労・期限等)なく住み続ける事ができる資格です。選挙権の行使などを除けば実質その国の国民とほぼ同等の権利を得ることができます。日本においては、外国人は永住権を取得するには日本人の配偶者の場合概ね3年、その他在留資格の場合は10年間問題なく継続して日本に住んでいなければなりません。米国においては永住権(一般的にはグリーンカードと呼ばれていますが)は、優れた才能のある外国人や、米国人の配偶者や近親者の外国人に対しては在留経験の有無を問わず申請できる特徴があります。

最後に
日米入管及び移民法において多くの共通点は存在しますが、その国をめざす人の質には大きな差があるように感じます。日本はその経済的優位性から多くの発展途上国出身の外国人が入国を望みますが、米国には国を問わず世界中から優秀な人材が結集します。これは入国に関する法律だけの問題ではありませんが、少なくとも21世紀日本に活力をもたらすであろう様々な国の優秀な人材がさらに入国しやすい入管法を期待します



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